
令和8年度の本試験を受験された皆様、本当にお疲れさまでした。
異常な難易度だった令和7年と比較すると、令和8年度は選択式試験も択一式試験もかなり気を使ったんだろうなということが見て取れる問題が多かったというのが正直な印象になります。
※だからといって、今年簡単だったという意味ではありません。
全く知らない手が出ないという問題は減りました。
とはいえ、難しい問題もありますが、納得のできる難問とそうでない難問があります。
今年はここについて書いていきたいと思います。
2年前は健康保険法が難しく感じる理由、昨年は択一式試験が難化しているように感じる理由を記事にして跳ねたので、もちろん今年も擦る気満々で記事を書いています。
例年のような有益性は今年は薄いけど、最後まで読んでいってねっっ!
なお、本記事は1人の社会保険労務士としての個人的見解となります。
今年の択一式試験について
決して簡単ではなかったのですが、正解肢の一本釣りがしやすい問題が増えたという印象です。
最後の二択、迷うんですがたぶんこっちよねが全体的にしやすかったというのが今年の感覚です。
近年の択一式試験は実務的な出題がされるようになったといわれています。
確かにその傾向はあり、それが受験勉強だけでは対応できない→難化しているように感じる側面があるのも事実です。
実務的な問題を出すのであれば、事例問題で出すのがいいと個人的には考えています。
受講生には事例問題が出たら難しいから後回しでいいよなんて言っているのですが、難問とされる事例問題で実際に実務に出てきそうな事例が出題されるならそれは試験の傾向としてはいい傾向にあると私は考えています。
事例問題は難問なので解けてなくてもいいとは思っていますが、それであれば実務的な考え方として必要になる部分を出題してほしいということです。
今年は事例問題で
良問っ!エェェクセレントォォッ!!
と思う問題もあれば、
この問題作ったやつ、ちょっと来い
と思う問題もありました。
今年はここについて少し深堀りしていきたいと思います。
良問と感じた事例問題
事例問題、良問の極みが労働基準法問5です。

割増賃金の基礎から除外される手当の問題です。
そう、みんな大好きかつべしじゅうりんいちです。
実はこの論点は昨年も出題されて2年連続のおかわり出題なんですが、昨年は「医師の手術手当」「事務員の特殊勤務手当」「年俸制の賞与」「夜間看護手当 」など、誰が知ってんねんオブザイヤーみたいな異常な難易度で、しっかりと記事にして擦らせていただきました。
えっ、この記事みて修正したきたの?というくらい今年は基本に忠実に、かつべしじゅうりんいちのど真ん中、通勤手当、住宅手当、 生活手当という名の明らかに文章で読み取れる家族手当が出題されました。
実際によく支給されている割増の基礎から除外されるこの手当の中で、除外されない例外が出題されています。
それが一律支給の通勤手当や、賃貸か持ち家で金額が違うので一律ではないように見えて一律扱いされる住宅手当です。家族手当は子どもに応じて変動しているので除外されています。ここが論点となりました。
これは実務でとっても重要!もう超実務的!!しかも、ちゃんと必ずテキスト記載されるところ!!!
そうなんです、そうそう!事例の難問にするならこういう論点を擦ってほしいのよ!!と大興奮!!!
さらには、通勤手当に社会保険料がかかることへの疑問があるかもしれませんが、このように一律支給されるような通勤手当もあるから社会保険料かかるよね、まで匂わせてるのかななんて考えるともう悶絶してしまいました。
美しい・・・
作問者さん、一杯奢らせてください・・・
とよくわからない精神状態になりました。
とはいえ、これは事例で難問なので受験生としてはイラっとしたと思います。
ですが、難問として出題される事例問題としてはとっても良問と感じました。
そして、高ぶる気持ちを抑えて問題を解き進めていくと、雇用保険法でモンスターに出会いました。
ファンタジーが過ぎる事例問題①
いろんな邪念が横切ったのが雇用保険法問7です。


波乱万丈なキャリアのスタートですね。ちょっと見ていきましょうか。
①22歳0月で適用事業所Xに、週所定労働時間が8時間の短時間労働者
→週1勤務か?もっと働こうぜっ!
②23歳0月でXにおける週所定労働時間が33時間に変更され、初めて一般被保険者となった。
→33時間?それ何の数字?ただの変則シフトなだけ?
③24歳0月から私傷病により引き続き18か月間Xを休職したが、その休職の期間賃金は受けなかった。
→傷病手当金の上限休んだのね。無理しないでね。
④25歳6月で当該私傷病によるXの休職期間が満了したことで、Xを退職した。
→休職期間の上限やったんやろうね。退職前給付金とかに騙されるなよ。
⑤基本手当の受給資格の決定を受けることなく、25歳7月で適用事業所Yに一般被保険者として雇用された。
→すぐに復職できるんかーい!
⑥ 25歳10月から産前休業を開始したが、その休業の間賃金は受けなかった。
→えっ、それは前職の私傷病休職期間中に妊娠したということ…?ざわ…ざわざわ…
入社3か月で産休入るのに復職したのって、出産手当金が目当てなんじゃ… ざわ…ざわざわ…
すぐに産休に入るとわかってて採用した会社って…ざわ…ざわざわ…
⑦26歳0月で出産し、産後休業を開始したが、その休業の間賃金は受けなかった。
→出産おめでとうございます!社会保険料は免除!出産手当金も支給!!
⑧26歳2月から育児休業を開始した(令和3年9月1日以降)。
→しっかり休んで、職場復帰してね!
とフルにつっこんだ後に冷静になりました。
で、これなんの話やっけ?あぁ、みなし被保険者期間ね。
こんなファンタジーな被保険者を想像させといて、正解肢は死ぬほど素直に15か月。
いや、マジでなんでこんなファンタジーにしたん?
なんか意味ありげでなんの意味もない33時間てなんやったん?
待機児童になって育児休業給付が2年に延長中に第2子妊娠しても、2人目の育児休業給付はみなし被保険者期間足りないからおかわりできないぞっ!くらいのつっこみができるくらいにこのあたりはいろんな経験をさせていただきましたが、さすがにこんなケースはみたことありません。
これは事例じゃなくてファンタジーですね。
※と思いたい部分が大きい。
ファンタジーが過ぎる事例問題②
徴収法は得点源、満点狙おうぜと受講生に言ってるのに、今年満点を阻止された雇用の徴収法問9です。


うん、まぁ延滞金なんて実務で計算したことないんですわ。
それを事例問題で出すのね、まぁこれは問題としてやるしかないですね。
色々ありますが、結局正解肢となった肢E。

令和8年10月31日が納期限ってことは延納2期目の概算保険料でしょ?いや、自分で金額を手書きする納付書じゃなくて、金額記載されて送ってくる納付書よね。
100,000円って書かれてる納付書で、どうやったら50,000円だけ払うことできるん?
銀行に行って「50,000円だけ払いたいんです…」って言ったん?
いや、そんなんできるわけないやん。窓口の人もびっくりするやろ。
労働局行って「50,000円だけ払いたいんです…」って相談したん?
労働局も滞納してるし半額でも回収したほうが良いなという判断をして半額だけ納付したということなんでしょうが、そんなレアケースで延滞金計算させるの?
いや、延滞金払うようなときって実際にこんな感じことが多いってこと?
実は超絶マニアックな世界のあるあるやったりするの?
など、解答に必要なプロセス以外を考えすぎる人になってしまいました。
でもやっぱり、これはファンタジーにしか感じれなかったです。
※私の社労士としての実務能力の解像度の問題であれば申し訳ないとは思います。
得点源にしようと言っている科目で難問が出されるのはちょっと辛いですね。
改めて、試験問題に思うこと
主催する連合会の意図も、作問者の意図も、受験予備校の意図も、受験生の意図もすべて違います。
どれくらいの合格者を出したいのか、どのような問題を出したいのか、どうすれば合格者を多く出せるのか、どうすれば合格できるのか。
それぞれの立場で最善を尽くしていく中で、試験である以上は結果として合格不合格と言う白黒がはっきりついてしまいます。
昨年の異常な難易度には正直、えっっっぐいな!!と思っていました。
こんな傾向が続くなら教える仕事をしている者として、どうしていけばいいんだろうと実は悩んでいました。
今年、受講生の質問に応えることに、無力感を感じたこともありました。
そんな思いで続けてきて、冒頭にも記載していますが、今年の問題は昨年に比べて相当に配慮されているなと感じることが多く、ほっとしたのが本音になります。
昨年悔しい思いをした方が、遺憾なくその実力を発揮できる問題だったと思います。
とはいえ、簡単だったというわけではないのできちんと実力差は出ると思います。
未知の問題や難問を出さないで欲しいとは思っていません。
ですが、実力差の出る問題はあって、納得感のある試験であって欲しいとは思っています。
そのラインをつく問題を毎年作り続けるのが難しいことも理解できます。
偉そうなことを言わせていただくのであれば、私は今年の試験はいい問題だったなと思います。
雇用徴収法問9には納得してないけどなっ!
※個人的な恨み。
まとめ
選択式、択一式問わず、努力が反映される問題であってほしいと願っています。
とはいえ、当然難問を作成する必要があるのも理解出ます。
難問が出題されるのであれば、事例問題で、実務的なことを問う難問であって欲しい、と言うのが私の願いです。
※かっこつけたことを書いてますが、だからといって事例問題が増えるのは嫌です。
今年、悔しい思いをした受験生から見るといい気持ちのしない記事かもしれません。
ですが、偉そうなことを言いやがってと思いながらも、今年の問題を1問で振り返るきっかけにしていただければ幸いです。
それでは。
